インサイドセールス/BDRの立ち上げ方|6ステップとKPI設計の基本
新規開拓の成果を安定させるうえで、いま多くのBtoB企業が取り組んでいるのが新規開拓型インサイドセールス(BDR)の立ち上げです。一方で、「人を採ってツールも入れたのに、アポにつながらない」「立ち上げたが属人化して止まってしまった」という声も少なくありません。
この記事では、BDRをゼロから立ち上げる手順を6ステップで整理し、あわせて件数×率で分解するKPIツリーの考え方を解説します。これから立ち上げる方はもちろん、一度つまずいた組織の立て直しにも使える内容です。
インサイドセールス・SDR・BDRの違いとは?
まず言葉を整理します。インサイドセールス・SDR・BDRは「同じ階層の3つの言葉」ではなく、種類(レイヤー)が違う言葉です。ここを分けて捉えると、一気にスッキリします。

インサイドセールス=「手法・場所」の概念(職種)
インサイドセールスは役割名ではなく、営業のやり方の分類です。訪問せず、電話・メール・Web会議など内勤で完結させる営業全般を指します。対義語はフィールドセールス(訪問・外勤営業)。
つまり「インサイドセールス」という箱の中に、SDRやBDRといった具体的な役割が入る包含関係になっています。
SDR・BDR=インサイドセールス内の「役割(分業ロール)」
SDRとBDRは、どちらもリードを商談化するところまでを担い、クロージングはフィールドセールスや専任クローザーに渡すのが一般的な設計です。違いはアプローチの方向にあります。
- SDR(Sales Development Representative)=インバウンド型/反響対応 マーケが獲得したリード(資料ダウンロード・問い合わせ・セミナー参加など、すでに関心を示した相手)に反応し、ヒアリング・見極め・ナーチャリングして商談化する役割。「向こうから来た熱を逃さず育てる」ポジションです。
- BDR(Business Development Representative)=アウトバウンド型/新規開拓 まだ接点のない企業に、こちらから仕掛ける役割。コールドコール・コールドメール・ABM(特定ターゲット企業への狙い撃ち)などが中心で、大手・エンタープライズ狙いで置かれることも多い領域です。
覚え方は、SDR=「反響(インバウンド)を捌く」/BDR=「新規(アウトバウンド)を作る」。この記事で扱う「立ち上げ」は、後者のBDRを指します。
なぜBDRの立ち上げはうまくいかないのか?
立ち上げがつまずく原因は、多くの場合「実行力」ではなく設計の不足にあります。よくあるのは次のようなパターンです。
- 目的とゴールが曖昧:「とりあえずアポを増やす」で始まり、何をもって成功とするかが決まっていない
- ターゲットが広すぎる:狙う相手が定まらず、刺さらない訴求で数を打つことになる
- チャネルが電話一択:相手に届きやすい経路を考えず、テレアポだけで消耗する
- 活動が可視化されていない:何が効いて何が効かないのかが分からず、改善が勘に頼る
- 属人化:できる人のやり方が共有されず、その人が抜けると止まる
裏を返せば、これらを先に設計しておけば、立ち上げの成功率は大きく上がります。
BDRの立ち上げ方【6ステップ】
STEP1. 目的とゴール(KGI)を定義する
まず「何のために立ち上げるのか」を数字で定義します。最終的に増やしたいのは商談数か、受注金額か、特定セグメントの開拓か。ここが決まると、追うべきKPIも自然と決まります。
STEP2. ターゲットを定義する
次に「誰に」アプローチするかを絞り込みます。業種・企業規模・部門・課題などの軸で、**成果につながりやすい相手の輪郭(ペルソナ)**を言語化します。ターゲットが明確なほど、この後のチャネルもトークも精度が上がります。
STEP3. チャネルを選定する
BDRのアプローチは電話(テレアポ)だけではありません。主なチャネルには次のようなものがあります。
- 電話
- メール
- 問い合わせフォーム
- SNS(ソーシャルセリング)
- 手紙・DM
ターゲット企業・ペルソナによって、届きやすい経路は変わります。決裁者にSNSで接触したほうが早い相手もいれば、フォームや手紙が刺さる相手もいます。単一チャネルに絞らず、相手に合わせて最適なチャネル(複数の組み合わせ)を選ぶことが、立ち上げの成否を分けます。
STEP4. アプローチ(トーク・文面)を設計する
選んだチャネルごとに、ターゲットに響く切り口(誰のどんな課題に、何を提案するか)と、それに沿ったアプローチリストを用意します。ここは成果を左右する中核で、**「相手起点で組み立てられているか」**が分かれ目になります。
トークスクリプトや文面・リスト設計の具体的な型は、自社の商材・ターゲット・チャネルによって最適解が変わります。汎用テンプレートをそのまま使うと精度が出にくい領域なので、自社に合わせた作り込みが重要です。
STEP5. 体制と運用ルールを整える
誰がアプローチし、誰がアポを引き継ぎ、どこに記録するか——役割と運用ルールを決めます。ここで活動を記録・可視化する仕組みを先に用意しておくと、後の改善が一気にラクになります。
STEP6. 実行し、数値で改善サイクルを回す
設計ができたら実行に移し、活動データを見ながら改善します。立ち上げ期は「一度作って終わり」ではなく、回しながら精度を上げていく前提で設計するのが成功の条件です。次のKPIツリーが、その羅針盤になります。
立ち上げで追うべきKPIとKPIツリーの考え方
KPIは単発で追うのではなく、最終ゴール(KGI=受注)から逆算し、各段階を「件数 × 率」で分解したツリーで捉えると、どこがボトルネックかが見えます。

このツリーは、上の段の件数が「下の段の件数 × その間の転換率」で決まることを表しています。たとえば受注数は「商談数 × 受注率」、商談数は「アポ獲得数 × 商談化率」といった具合です。
ポイントは、KPIを2種類に区別することです。
- 先行指標(自分でコントロールできる):アプローチ数など活動量。今日の行動で動かせる
- 結果指標(後からついてくる):アポ数・商談数・受注など。先行指標と転換率の積み上げの結果
立ち上げ期はまず先行指標(アプローチ数)を安定させ、各段階の転換率を見て、詰まっている箇所から改善します。たとえば「アプローチはできているのにアポにならない」なら、課題はチャネルの選び方かトークの切り口にある、といった具合に切り分けられます。
なお、各率の"目安となる数値"は業界・商材・ターゲット・チャネルによって大きく変わります。他社の平均値をそのまま当てはめるより、自社の実データを基準に置くほうが改善の精度は上がります。
立ち上げは「作って終わり」ではない
ここまで手順を見てきましたが、立ち上げは一度組んだら終わりではありません。実際には、目的の明確化から設計・体制づくり、そして運用しながらの改善まで、継続的に回し続けるべき営みがあります。

図のとおり、準備・設計だけでなく、人の採用・育成や、可視化→分析→改善のループまで含めると、やることは決して少なくありません。しかもその多くは「一度やれば終わり」ではなく、回し続ける必要があります。だからこそ、立ち上げの巧拙は準備段階の設計と、運用体制の作り込みで決まります。
自社で立ち上げるか、外注するか
正直に言えば、ここまでの一連——設計・体制づくり・採用育成・改善の継続——を自前でやり切るのは、相応の手間とノウハウがかかります。社内に設計・改善をリードできる人材と時間があれば内製で進められますが、そうでなければ、すでに型を持つ外部(営業支援会社)に任せるのも有力な選択肢です。
外注(支援会社の活用)には、主に次のようなメリットがあります。
- 管理コストが低い:すでに仕組み・運用の型があるため、自社でゼロからマネジメント体制や仕組みを作る時間とコストを圧縮できる
- 立ち上げのリードタイムが早い:プロ人材が設計から実行までを担うため、内製より早く立ち上がる
- 人材リスクが低い:採用と違い、結果にコミットする体制。担当の入れ替えや欠員が出ても、補充がすぐに効く
一方で、ノウハウを自社に蓄積したい・長期的に内製化したい場合は、内製(または内製+部分外注)が向きます。判断に迷うときは、まず現状を数値で分解し、ボトルネックがどこにあるかを特定するところから始めるのがおすすめです。
セールス・フォージは、**新規開拓型のインサイドセールス(BDR)**を専門に、戦略設計から実行・改善までを一気通貫で支援しています。無料の営業診断では、現状のデータを一緒に分解し、立ち上げに必要な設計(ターゲット・チャネル・トーク・体制・KPI)を具体的にご提案します。「何から手をつければいいか分からない」段階でも大丈夫です。まずはお問い合わせからお気軽にご相談ください。サービスの全体像はサービスページでもご覧いただけます。
よくあるご質問
Q.インサイドセールスとSDR・BDRは何が違いますか?+
インサイドセールスは「訪問せず内勤で商談化する職種(営業のやり方の分類)」で、その中にSDRとBDRという役割が含まれます。SDRはマーケが獲得したリードに対応するインバウンド型、BDRはまだ接点のない企業を自ら開拓するアウトバウンド型です。つまり同じ階層の言葉ではなく、インサイドセールスという箱の中にSDR・BDRが入る包含関係です。
Q.BDRのアプローチは電話(テレアポ)だけですか?+
いいえ。BDRのチャネルは電話・メール・問い合わせフォーム・SNS・手紙/DMなど複数あります。ターゲット企業やペルソナによって届きやすい経路は変わるため、単一チャネルに絞らず、相手に合わせて最適な組み合わせを選ぶのが成果につながります。
Q.立ち上げにはどれくらいの期間がかかりますか?+
目的やターゲットの複雑さによりますが、設計(目的定義・ターゲット定義・チャネル選定・アプローチ設計・体制構築)に数週間かけ、その後に実行を開始するのが一般的です。設計を飛ばして走り出すと、後戻りで結局遅くなります。
Q.自社で立ち上げるか、支援会社に頼むか、どう判断すればいいですか?+
社内に設計・改善をリードできる人材と時間があるなら内製、立ち上げのスピードと再現性を重視するなら外部活用が向きます。まずは現状を数値で分解し、どこがボトルネックかを特定してから判断するのがおすすめです。
執筆: セールス・フォージ編集部
